オレ達はどうしてこう不機嫌なんだ....
人間の自我の形成を見事に描き切った名作「ICHIGO」。
ICHIGO 第9巻 六田登
ある登場人物が死の間際、こんなセリフを吐きます。
「なんに...しても...オレ達は...どうしてこうー....不機嫌なんだ...」
さすがです。これは人間を注意深く観察していないとつくれないセリフだと思います。昔ある哲学者が人間の一番の罪は不機嫌であると言っていたそうですが、ここなんですよ、すべてのポイントがここにある。
湧き上ってくる感情に実はいい悪いはないんです。
腹に湧き上ってくるなんかもやもやした感じ。そのもやもやした感じに脳がレッテルを貼るわけです。
ではどうすればいいかといえば、このもやもやした感じを感じ切ればいいのです。そうすれば必ず、このもやもやした感じは抜けます。
自我というのはいうなれば、この「脳のレッテル貼り」なわけです。この自我は個人が生きてきた環境によって様々な形成のされ方があり、これが有史以来いろいろな「人間ドラマ」を展開してきたのです。
エンターテイメントで映画や小説を楽しむ分にはいいのですが、私個人としてはこの世のこのシステムに気付いてからは、平穏な日々が続き、本来の自分(仏教でいう空だとか、精神世界でいうハイヤーセルフ)に戻れた気がします。
喜怒哀楽、人間ドラマ、すべては個人の趣味なのです。
ありがとうございます。