ありがたき日々

すばらしきかなこの世界

道徳の教科書

今はどうなっているのか知りませんが、中学校の授業に道徳の時間がありました。教科書が配布されそれを読みながら登場人物の身になってその人の心情や世の中を考えるというものだったように思います。

 

あるストーリーでは、王選手が試合後記者団に囲まれ談笑しているとき選挙の話題になります。一人の記者がそのことを王選手に尋ねると王選手は私は選挙権がないのだよ、と答え記者がそのことを恥じるというものでした。日本には多様な人たちがいるということを学びなさい、ということでしょうか。

 

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一番印象に残っているのはこんな話。

 

太郎くんが夏休みのある日、夏祭りに出かけます。夏休みのワクワク感、夏祭りの雰囲気がさらにそれを刺激します。どこからともなく聞こえてくる人々のざわめき、屋台からの何とも言えないいい匂い、心が躍るとはこのことです。で、そこに少女が一人雑踏の中で輝いています。月夜の明かりとお祭りの高揚感も手伝って神秘的な雰囲気を醸し出し、こんな美少女見たことないといった感じでドキドキが止まりません。太郎くんは勇気をだして声をかけます。その夜一緒にお祭りを楽しんだ二人は別れ際、学校でまた会うことを約束します。

 

 

数日後、学校で肩をたたかれ振り向くと彼女がいます。しかし、あれ、ほんとにあの娘なのかなと太郎くんはショックを受けます。あの夜のドキドキはなんだったんだろうと。。。。

 

まあようするに一時の気の迷いで突っ走ってはいけませんよ、ということを言いたいんでしょうが、その当時の私はこんな子供だましのストーリーってなんだよ、という感じでした。が、大人になった今重要な瞬間(笑)になるとこのストーリーが思い出されて、見事に心にブレーキがかかるのです。恐るべし道徳教育。

 

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水木しげるさんが描く地獄絵図もトラウマです。生前に悪事ばかりしていた悪徳社長は血まみれになりながら美女が頂上で待っている針の山を登り、やっと登り切った頂上で鬼に変わった美女に喰われてしまうのです。深層心理への影響はとんでもなくあると思います。

 

 

水木少年とのんのんばあの地獄めぐり

水木少年とのんのんばあの地獄めぐり

 

 

 

鬼太郎の地獄めぐり (角川文庫―水木しげるコレクション)

鬼太郎の地獄めぐり (角川文庫―水木しげるコレクション)

 

 

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教育はある種の洗脳といえます。どのような題材を用い、どのように行うかは人間形成に重大な結果をもたらすのです。報道される事件を見聞きするたび、この人にはどのような歴史があったのだろうと想像を巡らしてしまいます。

 

 

 

ありがとうございます。